ふくおか食べる通信 | keizokajiwara
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Author: keizokajiwara

 約2年前のことでした。特に目的もなく書店を歩き回っていると、ある一冊の新書が目に飛び込んできました。タイトルは「世界で最初に飢えるのは日本」。その挑発的な言葉と、講談社の黄色い表紙は、否応なく視線を引きつけました。  手に取って目次をざっと追いましたが、「これはただ危機感を煽るだけの本だ」と、その時はそう思い、本を元の場所に戻しました。ウクライナ戦争の影響で小麦価格が上昇しつつあった時期でしたが、タイトルにある「飢える」という表現は、売り上げを狙った誇張に思えました。  それから時が流れ、2025年1月、さつまいもの特集を組む中でその歴史を調べていた時、ふとあの本のことが頭をよぎりました。さつまいもは「救荒作物」として、江戸時代の飢饉や戦後の食糧難で日本人の命を支えてきた作物でした。そして驚いたことに、現在でもそのさつまいもを政策的に再評価しようという動きが進んでいました。  2024年、「食料供給困難事態対策法」が成立したのです。その内容は、異常気象や国際情勢の悪化による輸入途絶といった不測の事態に備え、熱効率の高い作物(主にいも類)への生産転換を進めるという内容が記されていました。  改めて日本の食料事情を調べてみると、その脆弱さに愕然とします。2024年のカロリーベースの食料自給率は38%。先進国の中では最低の水準です。アメリカは104%、フランスは121%、ドイツ83%、カナダ204%、オーストラリアに至っては223%と、いずれも日本をはるかに上回ります。一見低いと言われるイギリスやイタリアでさえも55%以上を確保しているのです。(2021年農水省調べ)  さらに、日本の農業は飼料や肥料の多くを輸入に頼っていて、これらを全て国内で賄うとした場合の自給率は、驚くべきことに10%を下回るという試算もあるのです。  そして、今、2025年。アメリカではトランプ氏が再び大統領の座に返り咲きました。不測の事態が起こるのでしょうか? 私にはわかりません。我々は、本当に3食いもの生活に耐えられるのでしょうか? それもわかりません。  ひとつ確かなのは、日本の食料自給体制が極めて脆弱であるという事実です。農家の平均年齢は68歳。中央値は70代です。あと10年もすれば農家の数は大幅に減少し、作物を育てる人自体がいなくなってしまうでしょう。不測の事態が起こらずとも、我々が飢える可能性は着実に高まっていると言えます。  この現実に、私たちはどう向き合うべきでしょうか。一人ひとりが「自分ごと」として最優先に考える時代が訪れているのかもしれません。...

2025年1月号は、篠栗町 ナチュラルファームさんの「さつまいも」です。 ご主人の清原丈夫さんは、会社員をしながらの農業へのチャレンジ。 兼業農家というよりも「複業農家」 ご主人の夢をサポートする妻の美予さんとの二人三脚です。 2022年に就農 栽培期間中、農薬・除草剤・化学肥料不使用の自然派です。 ”くりこがね”という珍しい品種を栽培しています。 外皮は白くて地味な印象ですが、焼きいもにすると しっとりした食感と頬が落ちそうなくらいの甘さが特徴です 焼きいも 会社員との二足のわらじですが、1町5反の広さで8種類のいもを育てています。 二人の想いと合わせてお届けします!     購読のお申し込みは こちらからです 購読料3,500円(税込・送料込み) 2ヶ月に一度(奇数月)のお届け 情報誌(A3フルカラー12P + 食材:おおむね3〜4人分) ↓↓↓ https://secure.taberu.me/subscribe/fukuoka/new  ...

 このブログを書いている今、8つのタスクが同時進行しています。タスクとは期限のある仕事の一単位という事らしいので、正確には8つのプロジェクトで20近いタスクが同時進行しています。このブログを書くこともタスクの一つです。  会社員時代も多くのタスクをこなしていました。いやまさに、「こなしていた」というのが適切な表現でした。タスクというのは基本的に期限があります。つまり締め切りがあるわけです。その締め切りを遵守することが最優先で、タスクの完成度はその次。 いわゆる、緊急性が重要性を上回っていることが多かったように感じます。  会社員時代は、日々のタスクをこなすことで1日が終わり、そしてまた次の日が始まる。そんな日常を重ねることが多かったように感じます。  ところが現在、会社員時代以上のタスクを目の前にしているものの、「こなしている」という感覚が無いのです。もちろん締め切りがあるので、そこは遵守です。ただ、一つ一つのタスクに向き合う姿勢が明らかに違っているんです。  それはなぜなのか? 「独立すると、意識が変わるから」と一般的に言われることはあります。それ自体は間違ってはいないと思いますが、具体的にはどんな意識が変わるのでしょうか。  あれこれ考えながら行き着いた仮説は、「発生型のタスク」と「設定型のタスク」の違いではないか、ということです。会社員時代のタスクは、その多くが会社のどこかで発生した課題を解決するためのタスクでした。例えるなら、「上から降ってくるタスク」。  一方で、今のタスクは自ら課題を設定しそれを解決するためのタスク。例えるなら、「自分で生み出したタスク」と言えます。後者の場合、自分が課題だと思わなければ、一生課題設定されることはありません。あえて自ら設定した課題解決のためのタスクだからこそ、そのタスクに向き合う姿勢が違うのだと感じます。  これは、仕事だけに限ったことではありません。最も身近な自分の人生においても同じことが言える気がします。「自分はどんな人生を歩みたいのか」。この問いは極めて重要な問いですが、緊急性を伴うものではありません。つまり締め切りが決められている問いではありません。  しかし、ある日突然余命が宣告されたとしましょう。つまり締め切りが決められた。途端に、今考えるべき問いに変わるわけです。これは、ある日突然降ってきた発生型のタスクと似た構造と言えます。  そうではなく、いつかくる締め切りを踏まえ、自分の人生を設定型として向き合ってみる。それには、自らの人生に問いを立てるしかないわけです。緊急性に振り回されて、重要なことを見失ってないか。「発生型」で捉える人生か。それとも「設定型」で捉える人生か。みなさんはどちらですか。8つのタスクに向き合いながら、そういう事をつらつら考えてみました。...

2024年11月号は、糸島市の「糸島レモン」です。 元々、飲食店を経営していた一人の男性が飲み仲間との何気ない会話から 生まれたのが「糸島レモン」です。 意気投合した二人は、勢いで農業を始めます。 「まさか、農業を始めるとは思っていませんでした」   7年前にレモンの苗木を植え、 試行錯誤を繰り返しながらもレモンと向き合い続けたそうです。 「自分のお店で出すレモンですから、農薬や化学肥料は使用せず、 皮ごと使えるレモンを目指しました」   5年目くらいに、自信を持って出せるレモンができました」   完熟の黄色のレモンもいいのですが、 グリーンからイエローに変わる途中の黄緑レモンがオススメだそうです。 香りと果汁のバランスが良く、 グリーンレモンとイエローレモンのいいとこどりのレモン   防カビ剤やワックスはもちろん不使用。 二人の想いと合わせてお届けします!   購読のお申し込みは こちらからです ↓↓↓ https://secure.taberu.me/subscribe/fukuoka/new  ...

 社会で常識とされていること、当たり前だと思われていることはたくさんありますが、本当にそうなのか。また、いろんな人が「自分は正しい」と主張しているが、その正しさは本物なのか、誰がそれを決めるのか。多くの人が「正しい」と決めたら、それにはもう異議を挟めないのか・・・・・。(「疑う力」 著者:真山仁 文春新書)  小説「ハゲタカ」で一斉を風靡し、その後も様々な社会問題に鋭く切り込む小説を書き続けている真山仁さんにお会いする機会がありました。「正しいを疑う」は真山さんの座右の銘で、小説を書く際にも常に構想の骨格にある大切なテーマだそうです。  ここ数年、「多様性」という言葉を聞く機会が増えてきました。そもそも人間はひとりひとり違った外見を持っているように、価値観や考えといった内面的な要素も違っているので、その一つ一つを認めましょう。といった文脈で語られることが多いように感じています。  日本人は単一民族、単一国家だから多様性が少ない、と言われることが多いのですが、私はこの意見には違和感を持っています。日本人は民族こそほぼ単一ですが、北は北海道、南は沖縄まで季節や風土に大きな違いがあります。また日本人のルーツを遡っても、シベリアからオホーツク海を渡ってきた人々、中国、朝鮮を経由してやってきた人々、南方から黒潮に乗ってたどり着いた人々など、様々な背景を持った人々が集結し混血していった歴史があります。実に多様な国民なんです。  では、なぜ日本人は多様性が少ないと言われてきたのか。僕の仮説は近代化を支えた資本主義による大量生産、大量消費の世の中が日本人から多様性を一時的に奪っているのだと感じます。  戦後の1950年代、日本が復興する上で経済発展は必須でした。資源の少ない日本は原材料を輸入し、それを加工・製造し輸出する事で外貨を稼ぐ必要がありました。そのためには労働力が必要で、国民全員が少なくとも読み書き算盤ができるという一定水準の教育を受けられる仕組みを作りました。全ての国民に等しく教育を施すには、全国どこでも同水準の画一的な教育が必要でした。  その画一的な教育を受けた国民が企業で労働力となり、物を製造・販売する。人口も増え続け、作れば作るだけ売れた時代を1980年代まで経験します。その結果、国民所得は増え生活は豊かになります。「1億総中流」と言われた時代です。  画一的な教育を受け、画一的なビジネスモデルで豊かになった。実にわかりやすい画一的な幸せ実現のモデルが約40年に渡って日本人の価値観を支配した結果、多様な価値観を持つ必要がなかった。かなり荒っぽい理屈ですが、そんな感覚があります。  多様性の対義語は「画一性」です。「画一性」と「多様性」は本編でも触れた「規格」と「規格外」という構造と似ています。画一的な価値観で幸せになれた時代を経験した事で「画一性」が正しく「多様性」は正しくない。翻って「規格内」に収まるのが正しく、「規格外」は正しくない。そんな価値観が令和になった今でもまだこびりついているのかもしれません。  真山仁さんは、「多様性」とは人の数だけ正しさがあることを認めるということ、と述べています。「規格外は個性」と、当たり前に呼ばれる世の中はいつになるのでしょう。それは、我々次第なのかもしれません。...

2024年5月号は、通常とは違う特別企画です。 味は美味しいのに、見た目悪いとか、形がいびつといった理由で 「規格外」とされ、出荷されず廃棄されている果物や野菜があります。 実にその量は年間約190万トン。この量は日本国民全員が3日に1度 おにぎりを捨てていることと同じ計算になります。   このような「規格外」の果物や野菜は一般の流通に乗る前に廃棄されているので いわゆる「フードロス」にはカウントされず「隠れフードロス」として 生産者の大きな悩みのタネです。 この「規格外」の果物を農家から直接買取り、それをグラスフェッドバターや コンフィチュールに加工するなどして販売しているのが「Re.BooooN!」です。     この「Re.BooooN!」代表の山本龍太さんと、龍太さんの志に共感し協力している、 和歌山のみかん農家「山崎農園」と桃農家「辻本農園」さんを特集しました。 今回は、この3人を応援したく特別応援企画を実施中です! 購読のお申し込みは こちらからです ↓↓↓ https://secure.taberu.me/subscribe/fukuoka/new  ...

 今回、ほぼ掘り出した状態のままの「合馬たけのこ」を読者の皆様へお届けしました。生産者の清永さん曰く、「この状態でお届けするのが一番うまいんです」。スーパーなどで販売されているタケノコは水煮され、さらに綺麗にカットされ、いつでも使える真空パック状態で販売されているものが多いようです。売り手の涙ぐましい努力が垣間見られます。使う側にとっても時短でき、なおかつ手軽に調理できるといったメリットがあります。  そんな中、今回の「合馬たけのこ」は、届いたらすぐに、タケノコの外皮をはぎ、切れ目を入れ、ゆでてアクを抜き、皮をむいて、ようやく調理できる状態になります。この間約2〜3時間はかかります。効率重視の世の中において、なんとも手間のかかる作業です。私が会社員時代、1分1秒を惜しんで仕事に邁進していた頃であれば、「合馬たけのこ」を届けられるのはありがた迷惑と言っても過言ではなかったでしょう。  さて、みなさんは「タイム イズ マネー」という言葉を聞いたことはありますか。18世紀の半ばにアメリカの政治家ベンジャミン・フランクリンが言った言葉として紹介されています。この言葉、日本では「時は金なり」と訳され、比較的ポジティブな言葉として解釈されているように感じます。時間は有限なものであり万民に平等に与えられたもの。お金同様の貴重な時間を無駄にすることなく有意義に使うべし、という怠惰を戒める言葉として広まっている印象を受けます。   僕はこの考え方が嫌いではありません。むしろ歳を重ねるごとに時間の有限性と希少性を体感しています。この時間をなんに使おうか、日々考えながら行動しています。ただ、会社員時代の僕と今の僕とでは、使った時間に対して得られるものの基準が大きく変わりました。以前は生産性や効率といった基準が第一で、今で言う「タイパ」重視でした。   翻って今は、「充足感」を得られるかどうかを大切にしています。ここでいう「充足感」とは、他者からは一見無駄に見えるかもしれないが、本人が好奇心ややりがいを感じられ没頭できること、だと考えています。  例えば、コーヒーを飲む際、ドリップバッグを使ったコーヒーであれば、飲むまでにかかる時間はほんの数分です。これを日によっては生豆から焙煎します。飲むまでには1時間はかかるでしょう。しかし、この時間は僕にとって充足感溢れる時間なのです。なぜなら、毎回新しい発見があるのです。この新しい発見こそが僕にとっては充足感を満たすとても大切な要素だと気づきました。 「合馬たけのこ」を2〜3時間かけて下処理することが充足感につながるかどうかはわかりません。ただ、初めての体験をする時、脳は最も活性化するそうです。ある読者さんがこういうことを言ってくださいました。「ふくおか食べる通信は2ヶ月に1度のプチ非日常なんです」。1年前、僕にとってタケノコをさばくのは非日常体験でした。しかし、その体験があったからこそ、タケノコの本当のおいしさを知ることができました。...

2024年3月号は、北九州市合馬、清永ファームの「合馬たけのこ」 「合馬たけのこ」は高級タケノコとして大阪や京都で珍重されています   タケノコって竹やぶに自然に生えているものをただ掘るだけだと思っていませんか?      いやいや、竹林を整備し日あたり良くしたり 肥料をまいたりするなど、美味しいタケノコが生育しやすい環境を       人の手で整備しているんです。     タケノコは土の上に頭を出しているものを掘るんだと思っていませんか? いやいや、タケノコは土の中に埋まっているものを探し当て 掘り出しているんです。 この探す技術が職人技です。   タケノコはえぐみがあるから必ずあく抜きが必要だと思っていませんか? いやいや、土の中に埋まっているタケノコはほとんどえぐみが無いので ゆでるだけで美味しいんですよ!   そんな合馬の高級たけのこを育てる清永匡孝さんのこだわり   購読のお申し込みは こちらからです ↓↓↓ https://secure.taberu.me/subscribe/fukuoka/new  ...

2024年1月号は、築上町、ふく福ふぁーむの「菊芋」 「菊芋」ってご存知ですか?              菊? 芋? どっち? 菊のような花を咲かすが、収穫物が芋のよう。(形は生姜っぽいです)        ただし、普通の芋ではないんです。 血圧の上昇を抑える効果、腸を整える整腸効果、ダイエット効果が 期待できるスーパーフードなんです。   ここ数年で、俄然脚光を浴び出した菊芋。 ふく福ふぁーむでは、除草剤や農薬を使わず、化成肥料も使わず、栽培しています。 スーパーフードである所以は効能だけではありません。 食材としても万能です。 煮ても、炒めても、焼いても使える万能食材です。   今回は、菊芋に加え、ご飯がすすむ「菊芋のふりかけ」も一緒にお届けします。 購読のお申し込みは こちらからです ↓↓↓ https://secure.taberu.me/subscribe/fukuoka/new  ...

以前から、ずっとやりたいと思っていた「生産者に会えるBBQ」を福岡市南区の ABURAYAMA FUKUOKA(旧油山牧場)の森のBBQサイトで開催しました!! 当日は、嘉麻市 赤崎牧場の赤崎さんが、赤崎牛の赤身のかたまり肉5キロを持ち込み それをじっくり炭火で焼いてくれました!! 想像はしていましたが、赤崎牛のかたまりをドカッとグリルに置いた時の 「おおおおおおお」というどよめき スマホのシャッター音が鳴り止みませんでした。 さらに、久留米市 南筑ファームの幻の地鶏、久留米さざなみ鶏の炭火焼を 生産者の古賀さんが振る舞ってくれるという贅沢。 久留米さざなみ鶏は一般には流通していないため参加者は大喜びでした!   野菜とお米は 早良区で有機無農薬で頑張っているゆうきひろきさんが 持ち込み、自身でカットしてくれました!!           参加した読者さんからは 「これぞ、食べる通信を購読している醍醐味!!」 と、生産者のリアルな話を聞きながら、お肉やお野菜に舌鼓を打っていました!!    ...