コロナに罹患したとき、私は一時的に味覚を失いました。何を食べてもまったく味がしない。ただ口に運び、噛み、飲み込むだけの食事。
「もし、このまま味を感じられなくなったら…?」
そう思った瞬間、食べることの意味がガラリと変わりました。
食べるとは、ただお腹を満たすだけの行為ではなく、人生を彩るものだったのだと。美味しさを感じることは、こんなにも幸せなことだったのだと。
けれど、私たちは忙しい日々の中で、それをつい忘れてしまいがちです。仕事に追われ、家事に追われ、食事は「済ませるもの」になってしまう。仕方のないことかもしれません。
だからこそ、ふと立ち止まったときに思い出してほしいのです。
「食べることは、人生の幸せ」なのだということを。
そして、私たちはそんな気づきを届ける存在でありたいと願っています。
一粒の米、一切れの魚、一片の野菜ーーそれらは、ただの食材ではありません。
そこには、ひたむきな努力と深い想いが詰まっています。
土を耕し、雨風と向き合いながら作物を育てる農家。
海の気まぐれに翻弄されながらも、潮の流れを読み、魚を獲る漁師。
家畜と向き合い、その命に責任を持ちながら、安全でおいしい肉を生み出す畜産農家。
けれど、私たちが食材と出会うスーパーマーケットでは、並んだ商品の見た目や価格でしか選ぶことができません。その食材がどんなふうに育まれ、どんな想いとともに届けられたのかーーその物語を知る機会はほとんどありません。
だからこそ、私たちは伝えたいのです。
生産者のこだわりや情熱、時に迷いながらも挑み続ける姿を。
「誰が、どんな想いで作ったのか」を知ることで、食べることの価値はもっと深まるはずだから。
私たちは、ただ生産者や食材の情報を伝えるだけではなく、「食べる」を通じて人と人がつながる場をつくることを目指しています。
・生産者と消費者が直接出会い、想いを交わす機会を生み出すこと
・都市と地方をつなぎ「関係人口」を増やし、地域の魅力を広げていくこと
・持続可能な食文化を次の世代へと受け継いでいくこと
ふくおか食べる通信は、「食べる」をきっかけに人々がつながり、地域が活気づき、未来へと続く豊かな食の循環が生まれることを願っています。